トップへ » 当院のインプラント » 大学病院並みの感染対策
1)見落とされやすい感染対策

皆さんが、病院を選ばれる時、感染対策が十分出来ているか注意されているでしょうか?
おそらく、病院なら感染対策は十分なはずと、安心していることと思います。
本来なら、当然そうあるべきものです。
しかし、現実はそうではないことを、時々ニュースで知らされます。
皆さんは、このニュースを特殊な事件と受け止めていることでしょう。
私も、歯医者になるまではそのように思っていました。
2)歯医者における感染対策の現状
私は、開業するまで、10箇所ほどの歯科医院で働きました。
そのすべての歯科医院で、感染対策は不十分でした。
問題となる具体例を一つご紹介します。
歯の神経を除去するときに使う、リーマーという器具があります。この器具はとても細く、患者さんごとに高圧蒸気滅菌にかけていては、すぐに金属疲労を起こし、破折してしまいます。
そこで、1日の終わりに滅菌し、それまでは、使い回しをするところがあります。診療台の横に、消毒液を入れたシャーレー(皿のような入れ物)を置いておき、その中に使用したリーマーを入れておいて、使い回しをするのです。
消毒液で滅菌できればよいのですが、肝炎ウィルスなどは、これでは殺菌できません。
もし、前の患者さんが、ウィルス感染者で、その器具を使って神経を除去していたらどうでしょう?その器具をあなたの歯の中に突っ込まれたら、かなり危険と思いませんか?
私が働いた歯科医院の中には、そういうところもあったのです。
記憶する限り、1日1回ではなく、1週間に1回、リーマーを滅菌していたと思います。1日100人以上が来院する、人気の歯科医院でした。
3)開業にあたって決意したこと
院内感染は絶対に起こしてはいけない。
勤務医時代、常に良心に痛みを覚えていたことが、院内の感染対策でした。
すべての人が、正直に、感染者であることを申告してくれたらよいのですが、現実には、申告しない人のほうが多いようです。知っていて申告しない人だけではなく、自分が感染者であることを知らない人が多いのです。
したがって、感染対策を十分なものにするには、感染の申告の有無にかかわらず、感染の危険が少しでもあるものはすべて、一度滅菌してから使用しなければならないということになります。
これが、簡単ではないのです。
保険診療は、実は非常に安く、歯科医院の経営を圧迫しています。経営を黒字にし、従業員にある程度の給料を支払うには、経費を抑えるしかないのです。
感染対策は、患者さんには、知られにくいところなので、どうしても甘くなってしまうのです。感染の申告がなければ、非感染者として対応し、器具の使い回しが行われるのは、こういった事情も関係しているのです。
経費を出来るだけ抑えながら、感染対策を徹底すること。私が開業するにあたって決意したことの一つでした。
4)当院の感染対策
(1)超音波洗浄
すべての器具を、まず、超音波洗浄にかけます。器具に付着した血液や唾液を、超音波の力で洗い落とします。
(2)薬液滅菌(デントハイド)
次に、グルタルアルデヒドを主成分とする、デントハイド溶液にすべての器具を浸して、殺菌します。
(3-1)高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)
(1)、(2)が終わった後、130度の高温に耐えられる器具はすべて、これで滅菌します。
最も効率的で、完全な滅菌手段です。
基本セットをはじめ、ほとんどの外科器具や患者さんのお口に入る器具をこれで滅菌します。
問題は、熱に弱くオートクレーブにかけられない器具や、傷みやすい器具の滅菌です。
(3-2)エチレンオキサイトガス滅菌
熱に弱くオートクレーブにかけられない器具や、傷みやすい器具を、エチレンオキサイトガス滅菌で滅菌します。
大学病院など一部の機関しか設置していません。
この滅菌器の使用には、国家資格が必要です。
前にあげた、リーマーなどを、これで滅菌します。
器具をいためないで滅菌できる点でとても優れていますが、滅菌に10時間かかるため、1日に1度しか滅菌できません。
当院では、一度使用したリーマーなどは、薬液滅菌までしておいて、診療後に、エチレンオキサイトガス滅菌にかけ、翌日の診療に使用しています。
一度使用した器具を、滅菌することなく再使用することは決して行っていません。このことを徹底するには、エチレンオキサイトガス滅菌器なしには、ほとんど不可能と思います。
(3-3)高温オイル消毒器
ハンドピースという、歯を削る器具の滅菌をこれで行っています。
ハンドピースを患者さんごとに換えるということは、多量のハンドピースを必要とするため、まだ僅かな歯科医院しか実行できていません。
当院は、3台の診療台に対し、18本のハンドピースを備え、ひとつの診療が終わるごとに、使用したハンドピースを高温オイル消毒器にかけて使用しています。
以上のほか、診療用グローブは、患者さんごとに必ず交換することを、全スタッフに徹底しています。
5)インプラントの手術における感染対策
インプラントは、出血を伴う手術です。
使用する器具や、術者の手が汚染されていたら、患者さんは感染してしまいます。歯科の一般治療以上に、十分な感染対策が必要です。
◆インプラントで使用する外科器具はすべて、その手術専用に、オートクレーブで滅菌します。
滅菌後は、滅菌パックに入れたままで保管し、手術の現場で使用する直前に、滅菌パックから開けて使用します。
◆オートクレーブにかけられないが、手術中に術者が手で触らなければならないものも必ずあります。これらには、エチレンオキサイトガス滅菌器で滅菌したラップを覆い、術者が触っても汚染されないようにしています。
このように、インプラント手術においても、エチレンオキサイトガス滅菌器は必需なのです。
◆滅菌されたドレープ上に置かれた外科器具など滅菌されたものが汚染されないように、ドレープの上におかれています。
◆注射針のカバーや注射液は、オートクレーブでは滅菌できません。
エチレンオキサイトガスで滅菌して使用しています。
◆術者が手に触るものはすべて滅菌されていなければなりません。
直接滅菌できないものは、このようにエチレンオキサイトガス滅菌された銀紙やラップで覆います。
◆照明も術者が触れるように、滅菌された銀紙で覆っています。
◆滅菌された器具が汚染されないように、ドレープを台の上にかけています。
◆不潔域を担当する人は、普段の診療の制服でサポートします。
◆患者さんにドレープをかけています。ここは清潔域になります。患者さんには、滅菌されたドレープをかけます。術者が、患者さんの体に触れても、汚染されないようにするためです。
このように、準備の段階から、清潔域は、手術着を着た第一アシスタントが担当します。
◆手術の様子です。術者と、第一アシスタントは、滅菌されたオペ着を着て、手術に当ります。グローブも手術用に滅菌されたものを使用します。
帽子も滅菌されています。照明も、滅菌された銀紙が巻かれています。
◆手術に使う水も滅菌され、滅菌されたコップに入れてあります。コップはドレープの上におかれています。
ここはすべて清潔域になります。術者と、第一アシスタントのみが触れるのです。
◆手術の現場です。清潔域なので、ドレープがかけられ、滅菌された銀紙やラップが巻かれています。
術者が触るところは、清潔域といって、すべて滅菌された状態に保っています。
それ以外のところを、不潔域として、第二アシスタント以下が手分けをして担当します。
当院でのオペは、このように清潔を保つため、最低でも4人以上で手術に当っています。
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